仕事の成功に対する報酬は、その仕事を成し遂げた、ということである。(R. W. Emerson)

Foliage(塗装後)

情熱なくして偉業が達成されたことはない。(R. W. Emerson)

グリンギング・ギボンズ(Grinling Gibbons 1648-1721)のFoliageのレプリカです。(Belton House, Grantham, Lincolnshire)

塗装後

ギボンズの作品の特徴はレイヤ(層)構造になっていることです。さまざまな木を組み合わせることで、全体としての作品を形成しています。近代においては接着材が進歩しましたので、レプリカを作成する難易度は若干下がっていると思います。

別の言葉でいうなら、ギボンズ時代より、強度的考慮事項が軽減されたと言えると思われます。作品を作成する場合、いかに細い枝や茎、花であろうとも、その部位にカービングツールを当てる必要性から、その作業に耐えうる「剛性」が作品には求められます。細い枝や茎にカービングツールをあてたときに、それが折れてしまっては、作品として成り立たないからです。もちろん、すべての堅牢性が接着材によってもたらされるわけではありませんが。

フローリッジ
Foliage(塗装前)

情熱なくして偉業が達成されたことはない

このプロジェクトを始めるときのことは良く覚えているのですが、さあ、仕事にとりかかろうと思った際に、自分ならこのプロジェクトを最後までやり遂げることができる、という確信があって始めたわけではありません。まだ、自分が踏み入れたことがない、未開の領域の技術でしたから、情報を集める必要がありましたし、要素技術の開発が必要だったりもしました。様々な困難を乗り越え、作品として形を成したとき、その達成感と興奮、満足度は非常に高いものがあった記憶があります。

ただし、その満足度は永遠に続くものではないことも事実です。作品が完成したという喜びをかみしめたとき、その時の満足感が持続期間は、実はほんの一週間にすぎませんでした。一週間後には、自分が到達できなかった部分、あるいは満足できない作品の部分が自分の中で蓄積される結果となり、一週間よりの満足期間を経てのち、それよりはるかに長い期間、落ち込むことになります。こんなものではなかったはずだと、、、

情熱なくして偉業は達成されませんが、達成された偉業ですら、長く続くものではないこと。そんな現実をまじまじと感じた作品ではありました。

作品は完成した瞬間から、作者の手を離れていきます。作品は自分で自分のことを見て欲しいオーディエンスを勝手に選んでその場につれてきます。そんなときに、自分は本当にこの作品を作ってよかったと思えるような気がします。

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