ウッドカービング教室[第55回]-作画のトレーニング(自然のものを描く)-

自然のものを描く

 生命を描くことに集中し、そのアプローチの重要性について理解することが大切です。そして注意深く植物の形を観察することです。

 このスケッチブックの目的をよく思い出しましょう。

 植物の形をスケッチすることは、木彫の練習経験と、デザインの面白さを体感するのに、非常に有効な手段のひとつです。

 たとえばあなたが、すばらしいオーナメントのデザインをしたいとします。
 その場合、生命力のあふれる「良い」、植物と「悪い」植物の違いを正しく理解しなければなりません。

 そして、その形の最上級の形とはどんなものか、理解しなくてはなりません。
 あなたは、自然をお手本に描かなければなりません。すべての美は自然のなかにあります。この考えは、アントニオ・ガウディの建造物に共通する基本的な思想です。

 何世紀にも渡って、これはオーナメントの基礎トレーニングになってきました。中世で植物は自然科学者の絵のように扱われてきました。ルネッサンス期では、より型にはまった、洗練された形へと変化しました。それは、最終的にはさまざまな方向に広がるアカンサスリーフの束のような形になりました。

 歴史からも学ぶ必要もあります。

 きっと、歴史の理解が浅いオーナメントは貧相なものになることでしょう。

 世界各地に散らばった、情報源からその当時の様子を類推します。
木に関することを言うと、昔はたくさんオーナメントが取り付けられた場合、それがとりつけられた製造物(たとえば家具など)の魅力を増大させたとみなされました。

 一方、今日の家具に、このような装飾を数多く取り付けた場合、興味を増大させる効果は低く、ごくわずかな改良でしかないと見なされてしまいます。