さまざまなパターン
下図はチップカービングのさまざまなパターンです。
パターンに多少の違いはありますが、常に、垂直のスタブカットを行ったあとで、斜めのスローピングカットを行って、木屑を取り除くという標準的加工手順を踏みます。
下図は少々手の混んだものですが、カットの主要なところはすべて同じ加工です。
チップカービングは基本的には、三角形のチップ状のパターンの集まりです。
最初に、中央のラインを最初にカットし、両側を削りとっていき、三角形の形状を作っていきます。
ラインがカーブしているところは、チゼルではなくガウジで加工した方がうまくいくでしょう。
チップカービングはチゼルとチップカービングナイフの両方で加工を行うことができますが、一般的にはカービングナイフを使った方が格段に簡単です。
チップカービングナイフはチップカービングに特化したナイフで、チゼルよりこの手のパターンの場合、加工表面をきれいに仕上げることが可能です。
なぜならば、チゼルは基本的に鑿であるため、スライス方向で刃先を滑らせるナイフの切削面ほど、きれいにはならないからです。
一方、チゼルの方が切削面を平らにするには向いています。
チップカービングナイフの例を次に示します。
さて、パターンに戻り、写真をよく見ると、他のカットより深く大きいカットの方が、浅いカットより注目を集める(目が行く)ことがよくわかると思います。
さらに、デザインをよく観察すると、表面のすべてにチップ形状を作るのではなく、加工しない箇所も残してあることがわかります。
実は、表面のすべての箇所をチップカービングのデザインで覆ってしまうと、息苦しいものになってしまうため、加工してない表面も残してあるのです。これはノービスの誰でもが犯してしまう間違いで、このテクニック(加工した箇所としていない箇所のバランス)も、チップカービングのデザインをする際、頭に入れておくべき、テクニックになるのです。
次のパターンは、手の混んだものに見えます。
半円状の形は選択したガウジの形状によって決まります。
このカットに関しては、すべてを一回のカットで仕上げなくてはならないわけではありません。
やらなければならないことは、ガウジに軽く圧力をかけるて加工をはじめますが、その後カットの約半分に渡りスライドさせるという動きをさせながら加工するということです。
そして、半円の境界がつながるように下方向にプレスをもう一度かけます。
半円が完成するまで、この作業を繰り返します。
木屑は幅の狭い平らなガウジで取り除きます。
上図中央、波の形になったカットはVツールで加工します。
もし可能なら、ベイナーと呼ばれる小さなツールを使う方が好ましい結果を得ることができます。
この波線を加工する際、先に軽くスケッチを描きます
上図のように、大きなガウジパターンに小さなガウジパターンをつけるようなデザインの場合は、必要とするカーブのガウジをあらかじめ用意します。(要するに、このパターンは適用するガウジが必要です)
すべてのデザインにおいて、円弧状のパターンを作る場合は、最初に軽くセットインし表面に軽い刃型をつけます。
次に、その円弧に繋がるように第2回目のセットインを、これまた軽く行います。
この作業を続けて、円を完成させます。
円が完成したら、今度は大きな圧力をかけてセットインします。
このテクニックにより、コア部分を小さなチゼルで取り除くことができるようになります。
時には、ガウジで自然に取れてしまうこともあります。
木を取り除いたあとにできる、底の部分に残るわずかなデコボコはパンチの平な面で叩いて平にします。
フレンチ釘(フレンチネイル, French nail)の適当なサイズのものがあれば、この目的のために使用することができます。