バックグランド処理
木の彫刻において、一番最初に行う作業はバックグランド処理の終端処理を加工することです。言葉にすると難しいのですが、終端処理というのは、素材が加工の過程で割れたり、意図しない領域までクラックが入ってしまうことを防止することを言います。
この作業は実際はパーティング作業とも呼ばれ、この作業を行うために、11mm(1/2inch)までのマーキングガウジ(パーティングツール)を使い、エッジの周りをマークします。
蛇足ですが、パーティングとは、素材のパートを2つに分けるという意味で使っており、そのためのツールであるので、パーティングツールと呼びます。
パーティングツールで分けたパートの除去する側は13mm(1/2inch)や19mm(3/4inch)のNo.9のような半円ガウジを荒削りします。この場合、端のところから作業を開始します。
グランドレベルは仕上げ寸法の1mm(1/16inch)手前のレベルまで掘り下げます。
最初の段階では、アウトラインに沿うように表面からガウジを滑らせます。
できる限り、木目に対して縦に横切るようにガウジを使います。なお、カンナを使って木目に対して直角方法に引くことは、縦引き加工と呼ばれます。こうした方が木が砕けることを避けることができるからです。
この作業は、自分の使っているツールが本当に切れるか、どうかを見る良い方法でもあります。
必要ならマレットを使っても構いません。
ただし、材料がマレットによる加工に十分耐えることができるほど、硬くなくてはなりません。
次に、図のようにガウジでアウトラインを彫ります。
外形の1.5~3mm外側をガウジで彫ります。
形は厳密な形にする必要はありません。
下絵に書かれた、細かい細部については、すべて無視して構いません。
この作業でメインに考えることは、次のステージのセッティングインを行うときの、抵抗を減らすことです。
次に行うセッティングインとは、比較的フラットなガウジでアウトラインから1.5mmのところで、デザインを掘り出すことです。
この場合も、詳細部については手を付けません。
しかし、アウトラインにナチュラルにつなげなくてはなりません。
ガウジでアウトラインがすでに彫られているので、セットイン時のガウジの圧力で切削面が壊れてしまうということがないことがわかると思います。
このステージで注意することは、バックグランドの深さ以上に刃物で切り込みを入れないようにすることです。
この作業が終わる頃には、バックグランドは半円形ガウジでデザインの真下まで到達しているハズです。
グランディング作業を終える前に、アウトラインをもう一度一週見まわし、各カーブにおおよそフィットするガウジを選んでセッティングインをします。
もう一度言いますが、グランドレベルより深く歯物の切り口が付かないように注意してください。
グランディングの作業をできるだけたいらに仕上げるために、ほとんどたいらなガウジを使います。
たとえば、No.3, 19mm(3/4inch)または、25mm(1inch)などです。
角が彫られてしまわないようにしてください。
グランドレベルからデザインは垂直に立ち上がるようにします。
グランドレベルとデザインの境界線が直線になれば、グランドレベルがたいらになったことを示します。
このグランディングはツールのハンドリングの練習に有効です。
グランディングのゴールは、ほぼ全体が平になるように仕上げることです。
ただし、ツールによってつけられた刃型をすべて取り除く必要はありません。
この場合のグランディングの最後の処理は多くの場合、さまざまなサイズによるチゼル(ヒラノミ)を使うか、チゼル(ヒラノミ)で届かないエリアはグラウンダー(Grounders)で行うことができます。
もし、刃型が残ってしまった場合は、それを意図的に残しておくのも面白いでしょう。
しかし、家具や、小さな彫刻品の場合など、グランドレベルの表面をツールによってなめらかに仕上げる必要がある場合も時にはあります。
これは、見ているほど難しい作業ではありません。
この練習でガウジによるグランディングとヒラノミによるスムージング処理を体験してください。
右手はツールのハンドルを握り、前に押し出す力を生み出します。
左手はツールの歯とハンドルの中間位置を握り、右手による圧力の抵抗力、またはブレーキのように働きます。
実際のところは、2つの力の相互作用によりツールをコントロールします。
練習が終わる頃には、意識しないでコントロールできるようになっていることでしょう。