ガウジ2
さて、前回説明した方法でガウジを”ホーニング”した場合、bevelがフラットになることにお気づきになったと思います。
heelやbevelのとがった部位を取り除かなくてはならない場合は、ハンドルをやや寝かせ気味にして数回こすればよいでしょう。
砥石の平面だし(砥石と刃物を当てる面をフラットにすること)については、まったく神経質になる必要はありません。砥石表面の平面度に関しては、比較的ラフで構いません。日本式の砥ぎ方と違うこの辺も、非常に興味深い相違点です。
というのも、日本式の場合は、砥石の平面出しは、砥ぎを開始する以前の作業として、非常に重要なチェックポイントの1つになるからです。
このように外側のbevellを砥いだあと、内側のbevelの砥ぎに移ります。
内側のbevelはガウジの内側Rにピッタリあったオイルストーンの破片を使ってこすります。内側のbevelを砥ぐこのオイルストーンは、内Rとピッタリ同じでなければなりません。
もし、ピッタリな物が無い場合はヨークストーン(Yorkstone)の破片や、サンディングペーパーを使って作ってください。
ヨークストーンとは、中世ではユークシャーで多くとれた石ですが、現在ではいろんなところで取れるサンドストーン(sandstone/砂岩、堆積岩)のことです。
スリップが平らすぎた場合、角を落としてしまったり、スリップのRが小さすぎるとガウジの真ん中だけが凹んでしまったりします。
ピッタリなものが必要というのはこういう理由です。
ガウジを固定できるもの(たとえば万力)などで固定し、スリップを持ってガウジの歯をこするというやり方が、通常は一番やりやすい方法です。
もし、別の方法を好むのであれば、丸くすることに関して結果は同じですので、どの方法を採用しても構いません。
下図のように、いろいろな角度で、丸く仕上げられる必要があります
この作業は時間がかかりますが、スムーズで、簡単な切削を可能とするために、時間をかけるに値する作業です。
クラフトマンの中には、ガウジの角をチゼルと同じ様に、削り落としているクラフトマンもいます。角を落とす目的も場所もチゼルのところで説明したものと全く同じです。すなわち、角を落とすことによって、狭い隅までガウジを到達させることができるようにするためです。
角を落とすときの、注意事項もまったく同じです。
ツールの刃先まで届かない程度に角を落とす、というところに注意して加工してください。
すべてのクラフトマンがこれをやっている訳ではありません。
また、1つか2つの特別なツールだけに角を落としているクラフトマンもいます。