ガウジ1
ガウジを砥ぐ場合、砥ぐ順番があります。
まず、外側のbevelを最初に磨きます。
英語の文献をよく読んでみると、シャープニング(sharpning)とホーニング(honing)という2つの言葉が出てきます。
この2つの言葉が日本語の「研ぎ」「砥ぎ」「磨ぐ」とどう対応するのか考えることは、アカデミックなことで楽しいことかも知れませんが、個人的感想として言わせていただくなら、研ぎという行為や、さらには研ぎを意味すること自体が西洋と日本とで同じではないため、両者はおそらく違った行為をさしているのだろうと思います。
ことばを理解するということは、その物や行為を理解する上で助けになりますので、両者を混同して使用することは、本質を理解する上で妨げになるかも知れません。
今までの説明では、ノービス向けの説明として、あえて両者は区別せず、混同気味のわざとぼやかした説明になっていました。その方が、理解しやすいからです。
しかし、私たちはここまでだいぶ学習を進めてきましたので、以降の説明では意識的に両者を使い分けた説明をしようと思います。
シャープニング、ホーニングは機械的に日本語に直すと両方とも砥ぐという言葉になりますが、シャープニングは”荒砥”で砥ぐことで、シノギ面を削ること、一方ホーニングは”仕上げ砥石”で砥ぐことで、”研磨”という行為に近いと思います。
とりあえず以降はホーニングとシャープニングを意図的に言葉として使い分けようと思います。
シャープニングはbevel面の形状を変化させてしまうほどの、切削力の大きな砥ぎ。一方ホーニングについては、bevel面をあまり変化させない砥ぎを表すとしましょう。
話戻って、ガウジの砥ぎですが、ここではホーニングという言葉を使います。
磨ぎと書きましたが、要するにホーニングということです。
ガウジの外側のbevelは下図のようにホーニングします。
(下図)

下側の砥石はオイルストーンです。
この図を見て、これってシャープニングじゃない?と思う読者の方。
あなたは正しいかも知れませんが、これはホーニングと表現されています。
人によって違うかも知れないので、深く突っ込まないでください。
ガウジは砥石に対して適切な角度で固定されます。
そして、前後に回転させながら移動します。
この方法ですべてのエッジは研磨されます。
ロッキング動作を過剰にやらないように気をつけてください。ロッキング動作を過剰に行うと、ガウジの角を下図のように取ってしまいます。

これはよくない砥ぎ方です。
砥石の長手方向に、長い8の字型の文字を書くように砥ぐのが好きなクラフトマンもいます。