チゼル2
チゼル(平ノミ)の砥ぎ方に話を戻します。
前回に説明しました、ロッキング砥ぎをするときの砥石ですが、刃先が鈍角になるのを防ぐため、仕上げ砥石でだけこの砥ぎ方をします。
仕上げ砥石以外でこの砥ぎ方を行うと、刃先を砥石につっかけてしまいます。
刃先がこぼれた場合は、粗い砥石で刃こぼれを修正しますが、仕上げに関しては仕上げ砥石を使わなくてはなりません。
その次の工程では、ロシアンタローの混ざったクロッカスパウダーを皮製のドレッサーにつけてストロープ(革砥)するという方法が取られます。
革砥とは、革製のベルトに刃物をこすって砥ぐ方法で、昔の理髪店などで髭ソリ用のカミソリを砥ぐときによく使われました。
革は結構硬く、雑に砥ぐと、刃先が逆にこぼれてしまうこともあります。
砥ぎというより、バリを取る作業に近いかも知れません。
カミソリの場合は特にバリがあると、顔を傷つけるので、バリは革砥で完全に落とさなくてはならないのです。
タローとクロッカスパウダーについては第13回の説明を参照してください。これにより、非常によく切れるエッジを作ることが可能です。
Bevel(シノギ面)を研磨し、オイルストーンでバリを取り除きます。
チゼルのシノギ面を大規模に研磨した場合、バリはこの方法で取り除くには大きすぎる場合があります。その場合の最良の処し方は、やわらかい木に何回かエッジを通すことです。
これにより、バリは完全に取り除くことが可能です。
この作業が終わったら、もう一度ストローピングを両方の面に対して行います。