マーキング
ここでは、あなたはよくデザインされたレタリングの紙(下絵)をすでに持っているとします。そして、これから彫刻するオーク板は、目的とするサイズに整形されているものとします。
現時点では、何も書かれていないことを確認してください。
掘り込み彫刻(凹で文字を表現する場合)の場合、無駄な線は作業者をとてもイラつかせますし、混乱の元となるためです。
点をつくり、木目が水平になる位置になるように置きます。
こうすると、木目を横切るカットがより鋭角に、シャープになります。
しかし、このようにすることができない場合がしばしばあります。
木目が別の方向に向かっていて、このようにできない場合は、パーティングツールが非常に役に立ちます。
また、37mm(1.5in)を超える大きな文字の場合にも、パーティングツールは役に立ちます。チゼル(平ノミ)を使って木目を加工すると、セリフを超えて、木目が裂けてしまいやすいのです。
こうしてできた欠陥はいつでも直せるという種類の欠陥ではないので、パーティングツールを使った作業は、大いに役立つのです。
セリフ (serif) は、タイポグラフィにおいて文字のストロークの端にある小さな飾りを意味します。セリフを持つ書体をローマン体と呼びます。
セリフのない書体はサンセリフと呼ばれたり(sans-serif: フランス語で「セリフがない」という意味)、グロテスク(フランス語で grotesque、ドイツ語では grotesk)と呼ばれたりします。
セリフは下図の赤色で示した箇所の造形です。
さて、いよいよレタリングを木の上に転写します。
木の上に絵を転写する、一般的な実践方法は、カーボン紙の上にオリジナルの絵を載せてトレースするという方法です。
オリジナルの絵はトレースした線がわかるよう「赤い」ボールペンでトレースします。また、ボールペンは細すぎないペンを使います。細過ぎるボールペンを使うと、木目にペン先が取られ、トレースがうまく行かなくなります。
私は、この方法は一般的な方法で多くのメリットがある反面、やっかいな方法でもあると思っています。
なぜなら、トレースの作業中、少し紙が滑るかも知れないからです。その問題が起きるとは、たとえわずかでもがっかりさせられることになります。
もうひとつの点では、カーボン紙は多くの場合、不必要なマークを残してしまう点が挙げられます。
そしてそれを取り除くには、多くの場合スクレーパーの助けを必要とします。
スクレーパーは写真のような工具を若干湾曲させて、スクレーパーのエッジに形成されているバリを使って、木の表面を擦って使います。
スクレーパーによる、不要なマークの除去は、レタリングを損なってしまう可能性があります。
したがって、スクレーパーの処理は仕上げの前処理として行います。仕上げ処理で行わないのは、仕上げで特別な準備が必要になることがあるからです。
この2つの注意点を考慮すれば、転写という作業にはさほど大きな問題はないでしょう。