ウッドカービング教室[第60回]-ツールのハンドリング(デザインを書き写す)-

デザインの転写

 今日からは、新しい話題に移ります。
 ここで取り上げる話題は、ツールのハンドリングについてです。

 この章の練習の目的は、ノービス(初心者)の人がツールをどのように取り回しするかを学ぶことです。そして、同時にそれらを使う上で、自信を得ることを目的にしています。

 下図は単純で典型的なリーフのデザインです。

リーフデザイン

これは、どのような特別なスタイルを代表するものでもありません。シンプルなデコレーションのモチーフである以外、なんら特別な意味はありません。

 最初に申し上げておきますが、出来上がった作品が、下絵と正確に同じにできなくても、少しの問題もありません。

 実際のところ、自分のアイデアを標準フォームのモデリングに組み入れたとしても、全く問題にはなりません。

 重要なことは、長い流れるようなラインが葉の自然なストロークにマッチしていること。それだけです。

 ここでは、モデリングをするときにツールの持ち手を変えるトレーニングを行い、実際の作業ではどのように行うか学びます。

 これらトレーニングは、自信を得るのに非常に役立ちます。

 特に、3Dの作品に取り組んでいるときや、素材を作業台に固定したあと、容易に動かすことができない場合や、素材が永続的に固定されているワークの加工時などに非常に役だつスキルです。

 最初に必要なことは、デザインを木に写すことです。

 デザインを木に写す古典的な方法は、原画に正方形のマス(25mm角位)を書き、写す側の紙にも正方形のマスを書き、マスの縮尺のとおり写していくという方法です。

 この場合、デザインを書き写す際には、同時に、木目の方向にも注意を払わなくてはなりません。

 すべての形を単にあるマスのある点を通る線の束であるとみなしてはいけません。むしろ、それらはあなたがこれから彫る対象のガイドであるか、見えない部位の構造を表していると考えるようにしてください。要するに、線として見るのではなく、彫刻する対象として、ボリュームがある”マス”を感じるように表すことに注意してください。

 のちに、このデザインを転写する方法は変わったり、自分にあったように省略されたりします。また、あなたがもっとよく知っている方法で行われることもあります。フリーハンドでデザインを描くことを好む人は、フリーハンドで描いても構いません。

 ただし、この定型なリーフの形のリズミカルな表現は、リーフのベース表現をツールを使ってもたらしているものだということを意識してください。

 自然の花束と違い、サイドの葉脈は丸まるか、放射線状に中央の葉脈から分かれます。各線が協調性を持って流れていれば、必ずしも、正確に図のようにできなくても構いません。