ウッドカービング教室[第41回]-ツールを砥ぐ(10)-パーティングツール-

パーティングツール(三角刀)は、形状的には2つのチゼルが一定の角度を保って接続されているに過ぎない形をしていますが、砥ぎかたは若干トリッキーです。

 そして、その傾向は取り分け小さなサイズのツールの方が、難しいといわれています。

 パーティングツールは、チゼルやガウジと同じように外側のベベルはわずかに、丸く仕上げられます。

 内側の小さな方のbevelは三角形のオイルストーンスリップで整形されます。
(下図)

重要なポイントは、内側の角度です。
 本当にシャープになるように砥ぐのではありません。
 スリップのとがった角がすり減るに従い、ツールの先端にはフックした形が現れます。
(下図)

これは外側のbevelが真っ直ぐな面で形成され、鋭角な角度で刃先まで届いている場合、このようなフックができます。

 1つのbevelが他のbevelよりよりこすられていたりすると、フックは強調されたり、下図のような凹みができてしまったりします。

フックの最先端はとがった形にしません。

 内側の2つの面で形成された角度の間から、外側のするどい角までに渡り、厚みが必要だからです。

 このフックは内側の丸みを持たせた角度に従う形で、bevelの外側の角に渡るまでわずかに丸ませることにより、修正されます。
(下図)

このように外側の角をわずかに丸ませると、ツールのハンドリングが非常に簡単になり、ツールがドリフトしてしまう危険性を軽減することができる、という副次的な効果もあります。

 パーティングツールを本当に大きなレタリングに使う人は、外側のbevelが直線になっているより、丸まるように砥がれていると非常に作業がしやすいことに気づくことでしょう。

 なぜなら、それ以外の方法で処理したツールで、カーブした箇所を処理するのが、極端に難しいか、あるいは不可能であるためです。