ツールにはたくさんの種類がありますので、ここではさまざまなツールを分類しながら、各ツールの特徴などを説明していきましょう。
スペードツール類
長手方向にテーパー(傾き)がかかったツールは、一般にスペードツールと呼ばれ、傾きの形状により大きく3種類あると言われています。
- 刃先の先端付近で急峻に角度のついたフィッシュテールスペード
- 鋼の中間くらいの位置までブレードに角度がついたロングポッド(Long pod spade)スペード、またはチゼル(ノミ)と呼ばれるスペード
- ロングスペード、またはアロンギーツール(allongee tool)と呼ばれるブレードが鋼全般にわたって角度がついたスペード
以下ではそれぞれのツールの特徴をみていきます。
1.フィッシュテールスペード
一般的なスペードツールは、鋼の部分が刃先にかけて広がる形状をしています。
この種のツールの中でフィッシュテールスペードは、魚の尾を思わせるような、刃先にかけての急峻な傾きがあることが特徴です。
2.ロングポッドスペード
フィッシュテールほど急峻ではない傾きを有するスペードは、ロングポッドスペード(Long pod spade)、あるいはチゼルと呼ばれ、中程度の傾きがあります。
鋼の傾きは、よく見ると、鋼の真ん中くらいまであります。
3.ロングスペード(アロンギーツール)
ロングスペードやアロンギーツールは、ブレード全体に渡り傾きがついているのが特徴です。
実際のところ、ツールの呼び名は製造業者によってさまざまです。
また、使用する人によっても、同じというわけではありません。
ここで取り上げたツールの名前は一般的に使われている名前と解釈してください。
スペードツールとロングスペードツール(時にはロングポッドと呼ばれます)は軽度な作業とモデリングと最終段階の詳細の彫刻に使われます。
フィッシュテールガウジは、一般的に大きなツールのバージョン違いです。(小型化されたもの)
ストレートツール類
ストレートツールは、鋼(ブレード)のところがストレートになっているツールのことを指します。
この種類のツールも様々なサイズと、種類があります。
チゼル(ヒラノミ)、Vツールまたはパーティングツール、ガウジなどが代表的なストレートツールと呼ばれるものになります。
ストレートツールは非常に使い勝手がよく、実際の作業にはもっとも多用するツールと憶えておいてください。
英国、シェフィールドの会社ヘンリー・テイラー・ツールズ社によって作られているストレートチゼル(平ノミ)です。これらは手造りで、エッジのダレが起きにくく、適切なケアをすれば一生使い続けることができます。真鍮のフェルールがかぶせられ、ハンドルはブナ製です。手作りのため、サイズは公称であり、形はわずかに異なる場合があります。「すぐ使い」(研がないで使える)ようにセットアップされていますが、最終的な研磨は必要です。
ドイツで最も古いツール製造会社のヒルシュ社によって生産された、プロフェッショナル品質のチゼルです。この形状は、伝統的にヨーロッパの彫刻師が好むスタイルです。ナチュラルな曲率を有するハンドルは高い耐衝撃性を有します。ハンドルが八角形であるため、グリップしやすく、作業中作業台上でツールが転がるのを防ぎます。刃は高炭素鋼から鍛造され、非常によく研磨されています。最終的なストロッピングだけかければ、使用することができます。スキューチゼルの角度は約18°です。
ガウジとは丸刃彫刻刀のことであり、刃のR形状は多種多様です。また、深さもさまざまなものがあります。
チゼルにはまっすぐなものと、コーナーまたはスキューチゼルのように傾きがついているあるものがあります。
また、パーティングツールには、Vの角度によっておよそ3種類(45°、60°、100°)のものがあるとされています。
この彫刻ツールは、大きな彫刻や看板などの造形を、荒ら削りする作業に使います。大きいのですが、バランスが取れており、取り回ししやすく、作業しやすいツールです。
このツールは、ダブルフープハードウッドハンドルとレザーショックワッシャー(金輪)が装備されています。
マレットを使っても使わなくても使用できます。”すぐづかい”ですが、ツールは針葉樹(やわらかい木)を切削する場合、一旦研磨してから使用するのが無難です。堅木を切削するように、25°の二次ベベルを持っています。(1次ベベルは15°)
このツールは、とても丈夫にできているタイプで、大量の木材をすぐに取り除く作業(ボスティング作業)に向いています。Rc56-60に硬化加工済みです。
このツールはプロ志向のツールで、英国、シェフィールドのヘンリー・テイラー・ツールズ社によって製造されています。
手造りで、エッジ長持ちし、通常のケアを与えられれば一生使い続けることができる、きめの細かい鋼でできています。
このツールは真鍮のフェルールを持っており、ハンドルはブナ製です。
手作りのために、サイズは公称値であり、形はわずかに異なる場合があります。
工場研ぎ状態で出荷されますので、研ぎ、および最終的なホーニング(研磨)が必要です。
これらのパーティングツールはV切断形状を有し、コーナーの仕上げ、鋭利な溝の切断、およびアウトラインパターンの加工に使用されます。
湾曲したガウジ(Curved Gouge)
比較的深い溝を掘るときに一般的に必要になるツールが、この湾曲したツールになります。たとえば、ボール(bowl)のように凹んだ部分を掘るときなどに使用します。
ストレートガウジと、ストレートチゼルは一般的には、彫刻の作業の初期段階、すなわち堀の深さがそれほどない場面で使われます。
しかし、ある種の深さ以上に達すると、刃の角度を理想的な角度に維持することができなくなります。
このような場面で、湾曲したガウジ(カーブドガウジ)は重宝します。
ベントガウジ(Bent gouge)
ベントガウジに分類されるガウジは次の2種類です。
- フロントベントガウジ
- バックベントガウジ
これらは次のような形をしています。
英国、シェフィールドのヘンリー・テイラー・ツールズ社によって作られているバンクバントガウジです。これらは手造で、刃先エッジの耐久性は高く、通常のメンテナンスを行えば一生使い続けることができる、くきめの細かい鋼でできています。真鍮のフェルールが被さっており、ハンドルはブナ製です。手作りのため、サイズは公称値であり、形はわずかに異なる場合があります。工場研ぎが終了している状態で出荷されています。作業に使うには、研ぎと、最終的な研磨が必要になります。
これらのバックベントガウジは、スプーンガウジ(フロントベントガウジ)と同じ一般的な機能を持っていますが、凹型ではなく凸型の形状になっています。
フロントベントガウジとバックベントガウジを比べた場合、前者の方がより一般的に使用されています。
このツールの使用例としてはゴシックのトレホイル(三つ葉紋章)にみられるような、曲形溝のパート柄の部分の加工時などに使用されます。
バックベントガウジは滅多に必要とされません。
その必要性が高まったとき(これは永遠に起きないかもしれませんが)に購入することとお勧めします。
どちらのツールも、通常の一般的彫刻作業で必要とされることはありません。
同じような目的で、そして、より鋭角な溝の形に対応するためはフロントベンドガウジが用いられます。
スプーンガウジは狭いけれども深い造形を作るときに使います。
英国、シェフィールドのヘンリー・テイラー・ツールズ社によって作られています。手造りで、刃先のエッジを耐久性が高く、通常のメンテナンスで、一生使い続けることができる、きめ細かい鋼です。真鍮のフェルールを被されており、ハンドルはブナ製です。手作りのため、サイズは公称値であり、形はわずかに異なる場合があります。工場研ぎで出荷されており、研ぎ、および最終的な研磨が使用する前に必要です。
これらのスプーンガウジは、同じ数のストレートガウジと同様の曲率を持っていますが、ツールの端は細かい凹状シェーピングのため、スプーンのような形をしており名前の由来となっています。
他の方法では届くことができない、深く奥まったディテールの細工などに必要とされています。
ツールの部分的な形について
ツール類はシェフィールドリストを基礎とした番号で認識されます。それらはカーブの曲率で分類され、すべてのストレートツールに、大きさとは関係なく適応されます。
例えば、#9番は大きさがどんなものであろうとも、半円の形をしたストレートガウジです。
このように、ツールをオーダーする場合は、番号と幅を指定する必要があります。
誤解を生まないように、詳細な説明を加えることもできます。
例えば、ストレートガウジ#6, 8mm,(5/16In)、カーブドパーティングツールNo40, 9mm(3/8In)など。
また、ツールにハンドルがついているか、いないかも情報として付け加えてください。基本的に、彫刻刀のハンドルは取り換え可能なように製造されています。
最後にツール番号と幅の関係を一覧表に示します。この表で○印が書かれているツールは現存するものです。
straight | curved | front bent | back bent | 1mm | 2mm | 3mm | 4mm | 5mm | 6mm | 8mm | 9mm | 11mm | 13mm | 16mm | 19mm | 22mm | 25mm | |
CHISELS | #1 | #21 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
CHISELS | #2 | #22 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
CHISELS | #23 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
GOUGES | #3 | #12 | #24 | #33 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
GOUGES | #4 | #13 | #25 | #34 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
GOUGES | #5 | #14 | #26 | #35 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
GOUGES | #6 | #15 | #27 | #36 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
GOUGES | #7 | #16 | #28 | #37 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
GOUGES | #8 | #17 | #29 | #38 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
GOUGES | #9 | #18 | #30 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
FLUTERS | #10 | #19 | #31 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
VEINERS | #11 | #20 | #32 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
PARTING TOOLS | #39 | #40 | #43 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
PARTING TOOLS | #41 | #42 | #44 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
PARTING TOOLS | #45 | #46 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||
MACARONI | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||||||||
FLUTERONI | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||||||||||
BACKRONI | 〇 | 〇 | 〇 |